世界のスマートシティの動向をウォッチするビジョナリーによるスマートシティのマクロトレンド第3弾! 海外ではスマートシティは「まちづくり」を超えて新しいライフスタイル、新しい社会を生み出す仕組みと捉えられている。 一方の日本では、政府の科学技術政策の柱となったSociety 5.0に対応して、内閣府、国土交通省などの府省や産業競争力協議会などの民間コンソーシアムなどがスマートシティプロジェクトを推進しているが、Society 5.0のサブセットとしてのまちづくりに留まると同時に、相変わらず技術指向で住民が希求する「くらし方=ライフスタイル」を取り入れる仕組みに欠けている。このため日本のスマートシティは海外の動きからは取り残され、その考え方の根底は2008年ころの第1次スマートシティブームから進歩が見られない。本書では、海外でのスマートシティの「こんにち的」理解に基づき、更に進んで「スマートシティモデルによる社会変革」を提案し、Society 5.0がもたらす「超スマート社会」を実現するプロセスとしてのスマートシティの仕組みを提唱している。目次の概要:第一章:『変容するスマートシティの理解と現状』※最初のブームから現在までの国内外における「スマートシティ」への理解の変遷をたどり、欧米において一般的に受け入れられているスマートシティの「こんにち的」解釈を述べる。第二章:『見えてきたスマートシティ実現の仕組み』※スマートシティ実現に向けた仕組みが欧米において共通的な構造を持つこと、すなわち市民・行政・大学・産業界の四つのステークホルダーの連携がカギとなっていることを明らかにすると共に、この構造はオープンイノベーションの世界における「クアドルプルへリックスモデル」と同等であることを示す。さらに、日本発の活動としてアーバンデザインセンターのコンセプトと活動に言及する。第三章:『スマートシティ』※クアドルプルへリックスモデルによるスマートシティは、地理的空間における「都市のあり方」ではなく、新しいライフスタイルを未来社会において実現するためのプロセスモデルとして参照されるべきものである、との提案を示す。また、この視点から日本の府省、業界団体が提案するスマートシティ関連の最新のプロジェクトを検証し、その問題点を指摘する。第4章:『日本の「イシュー」と必要な処方箋』※日本の問題点(イシュー)を整理して、それらに対する処方箋を提案する。筆者は第一次ブームからスマートシティの業界にあり、日本でブームが去った後も海外の動向を注視しつづけており、世界各地での国際会議で各国の専門家との意見交換を続けるかたわら、国内外で講演、講義に招かれている。本書における海外の状況認識ならびにプロセスモデルとしてのスマートシティ、住民の新しいライフスタイルを生み出す仕組みとしてのスマートシティの考え方は米国スマートシティーズカウンシルCEOのジェシー・バースト、EUのスマートシティプログラムの推進組織である「スマートシティに関する欧州イノベーションパートナーシップ」議長のグラハム・コルクラフ、米国のオバマ大統領のスマートシティイニシアティブである「エンビジョンアメリカ」事務局の専務理事エイミー・オーシカーなどとの意見交換を通じて理論的、実践的に強化されたものである。